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役員コラム

2026.07.06

孫の手

㈱あさひ合同会計 代表取締役社長 藤原 耕司

 年明けから五月まで続いた税理士事務所の繁忙期もようやく一段落。その間、知らず知らずのうちに力が入っていたのか、最近になって肩の動きがぎこちない。どうやら世にいう「五十肩」の仲間入りをしたらしい。できれば無縁でいたかった。

 肩周辺が痛いと不便なもので、特に困るのが背中のかゆい場所に手が届かないこと。そんな時、ふと昔同居していた祖父母が使っていた「孫の手」を思い出し、購入してみた。使ってみると実に便利。ささいなことではあるものの、日常の快適さが違う。

その話を事務所の若手職員にしたところ、「孫の手ってどんなものですか?」という反応が。世代の違いを感じつつ、「先が小さな手の形になっている棒で、肩や腕が思うように動かなくなった時に使う道具のこと」と、手で形を示しながら説明した。もちろん、「将来使うことになるよ」という余計な一言は口にしない。


後日、この便利な道具は日本独特のものなのだろうかと気になって調べてみた。すると、世界各国にも同じような商品があることが分かった。考えてみれば、肩や腕が思うように動かなくなるのは万国共通であるし、道具を工夫して暮らしを便利にしてきた人類らしいアイデア商品だと妙に納得した。

 さらにその流れで、名前の由来についても調べてみた。
 中国の伝承に登場する仙女「麻姑(まこ)」は長い爪を持っており、その爪で背中を掻いてもらえたら気持ちが良いだろうということから、届かない場所を掻く道具を「麻姑の手」と呼んだ。それが後に「孫の手」という名称へと姿を変えたという。
 私はてっきり、「孫が祖父母の背中を掻いてあげる手のようなもの」だから、孫の手なのだと考えていたが、長年の勘違いだったようだ。   
 ちなみに、「思いどおりに事が運び、心地よいこと」を意味する「麻姑掻痒(まこそうよう)」という四字熟語も、その麻姑の故事から生まれた言葉であることを知る。

お客様に“かゆいところに手が届く”と感じていただけるような仕事を心がけたい。

 孫の手を使いながら思う、繁忙期明けの七月。

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