スタッフブログ
2025.01.10
芋粥シンドローム
㈱あさひ合同会計 谷中
私は昔から一つの小さな野望がありました。それは「ネギトロをいつか飽きるほど食べたい」というしょうもない野望です。数年前は冗談を飛ばしながらの小さな野望だったのですが、時の流れは妙におかしなもので、過ぎ行く時間は私の血よりも濃いネギトロ欲を作ることになってしまったようです。
具体的に何歳の頃からその野望が沸いたのか、ちゃんと時期を明かしたいのですが、生憎覚えてないのでわかりません。実際、覚える資格がない程、しょうもない野望だったのではないかと思います。
回転寿司に行くときも、必ず1皿はネギトロを注文する一途な漢なのですが、回転寿司の軍艦に乗っているネギトロの量は所詮20グラムくらいです。一時のネギトロ欲は満たせたとしても、慢性的に私の脳内にこびりついているネギトロ欲の権化はそんじょそこらの量では満たせないようです。
「ほんなら回転寿司行ってネギトロ軍艦だけ注文すればええやん」という話ではないのです。シャリがボディーブローのように胃袋を攻撃してきますし、第一そんな注文をしてしまった暁には、お店のバックヤードで「ネギトロ大好き君」とか「ネギトロペロペロ事件」みたいなあだ名をつけられてしまう可能性があるため、どうしても気が引けるのです。
そんな私ですが、ついに先日野望をふるさと納税によって叶えることができました。届いた段ボールを鼻歌交じりで開封し、ネギトロパックが詰め込まれた壮観な光景を見てテンションがめちゃくちゃ上がりましたが、その量を冷静に目にしたときになぜか食欲が消えているのです。具体的にいえば、おなかは空いていたのですが、あんなに大きな存在だったネギトロ欲はほぼ消えており、ご飯の上にちょっと載せて食べるくらいで満足してしまいました。
芥川の名著『芋粥』の中身と似たようなことを経験してしまいました、というだけのしょうもない話なのですが、結局のところ、願いは叶うよりも願うことそのもののほうが幸せなこともあると学びました。ネギトロ以外にも自分の中で抱え込んでいる野望はいくつかありますが、叶えることを最大の目標にするのではなくその過程を大切にし、いつの日かまた別の願いが叶うように、そうなるように生きていこうと思います。