スタッフブログ
2014.12.01
冬の思い出
㈱あさひ合同会計 永井
冬の朝、澄んだ空気を吸って白い息を吐くと思い出す光景があります。まだ辺りが薄暗い早朝、吐く息は白く、誰もいない道をバス停まで歩く光景。
私は中学3年生の夏、ニュージーランドへホームステイに行きました。私の通っていた中学校は修学旅行の代わりにホームステイに行き、英語の勉強と異文化を学ぶというものでした。2週間と短い間でしたが、英語力がほとんどない15歳の私にとっては大冒険。ステイ先に日本人が自分一人という環境は大変心細いものでした。
3人の子育てを終えた60歳代の夫婦が私のホストファミリーでした。二人の第一印象は、細くて背が高くキリっとした目元でちょっと怖そうなホストマザー、ちょっとおなかの出た笑顔の優しい印象のホストファーザーでしたが、緊張して無口な私を二人は温かく迎えてくれました。けれど困ったことにニュージーランドは英語に訛りがあり、ただでさえ英語の聞き取りが難しい私にとっては簡単な単語でさえ理解に苦しむ毎日でした。例えば、猫という単語。米英語では「キャッツ」と発音するところを、「ケッツ」と発音します。少し発音が違うだけで、それは全く違うものにしか聞こえないのです。そして滞在中、ホストマザーから何度となく聞かれた「カポティー?」という質問。「A cup of tea?」「紅茶はいかが?」という意味だと気がつくのには時間がかかりました。
何をするにも発見があり、バスに乗る、買い物をする、ホストマザーが作ったランチを食べること等すべてが新鮮でした。外は寒いけれど、家に帰ったら優しいホストマザーが温かい紅茶を入れて、学校での出来事を聞いてくれました。いつも笑顔でちょっと恥ずかしがりやのホストファーザーが仕事から帰って来たら、温かい部屋で一緒に食事を囲みました。
この2週間の経験はかけがえのないもので、不安と闘った日々は内気な私を強くしてくれ、それまで当たり前だった日本での生活が実は当たり前ではないことに気づかせてくれました。少し大人になったような甘酸っぱい思い出です。
きっと今年の冬もあの光景を思い出すでしょう。