ちょっと気になる経理処理

2024.09.11

飲食費とインボイス制度

令和6年度の税制改正で交際費等の取扱いが変わり、令和6年4月1日より交際費等の範囲から除外される飲食費の金額基準が、1人当たり5,000円以下から10,000円以下(以下少額飲食費という。)に引き上げられました。また、今回の税制改正に併せて、交際費等の損金不算入に関し、「接待交際費の50%損金算入特例」と「中小法人等の定額控除限度額(年800万円)の特例」の適用期限が令和9年3月末まで3年間延長されました。

《飲食費》

飲食費とは、法令上「飲食その他これに類する行為のために要する費用(社内飲食費を除く。)」と規定されており、次のような費用は、社内飲食費を除き、飲食費に該当します。

  •  自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」
  •  飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等
  •  飲食等のために支払う会場費
  •  得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」(得意先等において差入れ後相応の時間内に飲食されるようなもの)
  •  飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」

《インボイス制度下での注意点》

インボイス制度の開始により、支払先がインボイス発行事業者でない場合、消費税が控除できなくなっています。ただし、経過措置として令和11年9月30日までは段階的に控除が認められています。
税抜経理を採用している場合には、少額飲食費は税抜で10,000円以下になるかどうかで判断します。

〇 税抜経理の場合の飲食費として処理できる支払金額のボーダーライン(消費税10%)

経過措置期間インボイス発行事業者左記以外
R6.4.1R8.9.3080%控除)

11,000円
(※内1,000円消費税として処理)

10,784円(※内784円消費税として処理)
R8.10.1R11.9.3050%控除)
10,476円(※内476円消費税として処理)
R11.10.1~(全額控除できず)
10,000円(※内0円消費税として処理)

※端数処理等により、金額に1円の差が生じる場合があります。

消費税の計算を一般課税で計算する事業者において、インボイス発行事業者以外からの仕入税額控除について経過措置の適用を受ける際、各期間で税抜経理できる割合が異なるため、経過措置期間が進むにつれて消費税の処理金額が減っていきます。結果、少額飲食費として処理できる支払金額を逆算すると、上記表の「左記以外」のように金額が下がっていきます。飲食費を精算・経理される際にはお気をつけください。

結果的に10,000円を超えて交際費等となったとしても、中小法人等であれば、その他の交際費等合計して年800万円まで損金となる「中小法人等の定額控除限度額の特例」があります。

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