ちょっと気になる経理処理

2022.03.10

これって医療費控除になるの?

〇検査や健診に係る費用
医師等の判断により検査を受けた場合は医療費控除の対象です。また、自己判断の場合でも検査の結果「陽性」であることが判明し、引き続き治療を行った場合、その検査は治療に先立って行われる診察と同様であると考えることができますので、医療費控除の対象となります。人間ドックや健康診断、メタボ健診、エイズ検査、PCR 検査などの検査も同様です。
なお、予防接種は原則医療費控除対象外です。

〇容姿を単に美ぼう化するための費用
例えば美容目的の歯列矯正は対象とはなりません。ただし機能的な問題があったり、発育段階にある子供の成長を阻害しないように歯並びを矯正するような場合など、社会一般的に考えてその治療行為が必要であると認められる費用については、医療費控除の対象となります。ほくろ除去も同様です。

〇医師等の診断で購入したもの
医師等による診療等を受けており、かつ、治療上必要な場合で医師の指示に基づき購入した場合であったとしても、医師等による診療等を受けるために直接必要なものでなければ医療費控除の対象とはなりません。
また、医療費控除の対象となる器具は、それ自体が医療用器具等である場合に限られています。

対象となるもの

対象とならないもの

血圧計、体温計、体重計、ペースメーカー、注射器、マッサージ器具、松葉杖、車いす等

眼鏡、コンタクトレンズ、空気清浄機、浄水器、防ダニ寝具、電動ベッド、歩行器等

〇一般的な医薬品の購入
かぜ薬などの治療のための一般的な医薬品については、医師の処方や指示がなくても医療費控除の対象となります。かぜ薬のほか、足を捻挫したための湿布薬、頭痛・腹痛などの痛み止めなども上記同様に医療費控除の対象となります。セルフメディケーション税制と重なる部分ですので、医療費控除のどちらかを選択するようになります。

〇治療を受けるための交通費
公共交通機関での通院は対象となります。また通院する病院等の近隣に公共交通機関がないためにタクシーを利用せざるを得ない状況のほか、急病の場合に利用するタクシー代についても、医療費控除の対象となります。医療費控除の対象となるものは、原則、医師等の診療等を受ける患者自身の支出費用が対象となっています。患者が一人で通院等ができない状態の場合の付添い人の旅費等のうち、通常必要と認められる費用も対象になります。

〇入院に関する費用
医師等による診療を受けるための通院費若しくは医師等の送迎費、入院若しくは入所の対価として支払う部屋代、食事代等の費用で通常必要なものは、原則医療費控除の対象となります。

クリーニング代

シーツ・枕カバーなどのクリーニング代は認められますが、患者自身のパジャマ等寝具に関するものは医療費控除の対象として認められません。

差額ベッド代

病状のためや病院側の都合で個室を利用する場合に限り医療費控除の対象となります。

テレビ・冷蔵庫等電気の使用料

医療費控除の対象とはなりません。

食事代

病院に対して支払う入院患者の食事代は、入院費用の一部となりますので、医療費控除の対象となります。

医薬品以外の物品の購入

治療のために使用されるものであることや医師の指示による購入物品であれば医療費控除の対象となります(水枕や氷のう等)。ただし、入院に際して持参するようなものは対象となりません(パジャマ、洗面具、下着等)。

おむつ代

傷病によりおおむね6ヶ月以上にわたり寝たきりであり、かつ、医師の治療を受けている人で、 医師が発行した「おむつ使用証明書」がなければ対象となりません。

診断書作成料

対象となりません。ただし、「診療情報提供書(紹介状)」は対象です。

〇医療費の補填について
医療費控除を支払った場合の医療費の金額のうち、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補填される部分の金額を除く必要があります。この除かれる金額は、差し引く医療費ごとに個別計算となりますので、他の医療費に影響させないことになっています。
なお、確定申告までに入金される保険金が確定されない場合には、保険金額を見積もり、その見積額を医療費から控除します。

健康保険法の規定より支給される医療費控除額から差し引くもの

療養費・移送費・出産育児一時金・配偶者出産育児一時金・家族療養費・家族移送費・高額療養費

〇介護サービス利用の医療費
介護保険の範囲は多岐に渡りますので医療費控除の対象になるかどうか判断させていただきます。
領収証等をまとめて担当へお渡しください。

〇最後に
医療費控除は領収証をお預かりしただけでは判断しかねるものが多くあります。
メモを添えていただいたり、経緯などを簡単にご教示いただければと思います。