ちょっと気になる経理処理

2020.08.06

消費税の仮決算による中間申告

 消費税の中間申告の方法は、「前期実績による中間申告」と「仮決算による中間申告」の2通りがあります。通常は、前期実績による中間申告をする場合が多いです。

【参 考】
前事業年度の確定申告税額が48万円(国税のみ)を超えると中間申告が必要となります。
・国税48万円超400万円以下・・・年1回
・国税400万円超4,800万円以下・・・年3回
・国税4,800万円超・・・年11回

 中間申告が必要な事業者には、事前に税務署から前期の実績による中間申告書(既に税額等が記載済)と納付書が送られてきます。前期実績により中間申告をする場合は、納期限までに納付書に記載された税額を納付すれば、中間申告書を提出しなくても問題ないとされています。
 ここからは、仮決算による中間申告について説明していきます。
 仮決算による中間申告とは、中間申告の対象期間を1事業年度とみなして仮決算を行い、その内容に基づいて各回の消費税額を計算する方法をいいます。例えば、年1回中間申告をする場合であれば、6ヶ月を1事業年度とみなし、本決算と同じような手順で「消費税及び地方消費税の中間申告書」を作成し、納付する消費税額を計算します。
 税務署から通知された前課税期間の実績に基づく金額ではなく、現在の試算表を基に中間納付額を算出して申告するため、前期は業績がよかったが当期はあまり芳しくない、または業績が著しく悪化したような場合は、仮決算による中間申告を行うことによって、納税額を抑えることができます。
 消費税の中間申告が年3回や年11回の企業では、その都度仮決算を組むとなると、事務処理などが増え業務負担も大きくなりますが、年1回の企業であれば法人の中間申告に合わせて仮決算を組むことになるので効率的ともいえます。
 なお、消費税の中間申告義務がない国税48万円以下の企業が「任意の中間申告制度」を利用する場合、直前の課税期間の確定申告消費税額の1/2が中間納付額となります。
 この場合でも、仮決算を行って計算した消費税及び地方消費税額で中間申告・納付することができます。
 ただし、どちらの中間申告の方法を採用しても、最終的な確定申告で算出される税額は変わりませんし、計算した金額がマイナスになった場合についても、中間申告では還付を受けることは出来ませんので注意が必要です。