ちょっと気になる経理処理
2020.03.02
企業版ふるさと納税はオトク?
今回は、平成28年度に創設された企業版ふるさと納税(正式名称:地方創生応援税制)についてご紹介させていただきます。
本税制は地方創生を目的として創設されたもので、昨年度までは約6割の税額控除なおかつ2019年度までの時限措置だったのですが、令和2年度の税制改正で新たに適用期限の5年延長と税額控除割合の引き上げ(9割)が発表され、今に至ります。
(内閣府地方創生推進事務局 企業版ふるさと納税ポータルサイト 公表資料https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/tiikisaisei/kigyou_furusato.html より抜粋)
以上が企業版ふるさと納税の大まかな内容となりますが、個人版ふるさと納税と比較した場合①返礼品はもらえない②最低でも寄付金額の約1割は企業負担という大きな特徴があります。個人版ふるさと納税と比べると旨みがあるとは言い難く、正直なところ進んでこの税制を利用したいと考える方は少ないと思われます。
事実、平成30年度の個人版ふるさと納税の実績額が約5,127億円¹であるのに対し、企業版ふるさと納税の実績額は約34億円²に留まっており、企業版ふるさと納税はふるさと納税額の約0.6%しか利用されていないことがわかります。
しかしながら、本制度はここ岡山県で積極的に行われています。過去に行われた県内の主な実績としては、瀬戸内市が行った「国宝『山鳥毛』購入活用プロジェクト」や、玉野市が行った「たまの版地方創生人財育成プロジェクト」等があります。地方自治体に寄付を行うことで地域が元気になる効果が期待できるうえ、寄付を行った企業は市町村等より公表され(未公表にしてもらうことも可能)、地方創生に協力している企業としてPR効果も見込めるといった税額以外でのメリットもあります。
税額控除割合が引き上げられる令和2年度から検討してみてはいかがでしょうか。
1 総務省 ふるさと納税ポータルサイト『令和元年度ふるさと納税に関する現況調査について』より抜粋
2 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/tiikisaisei/pdf/h30jisseki_itiran.pdf