ちょっと気になる経理処理
2017.02.01
電子帳簿保存を解説!
2005年から施行されたスキャンによる電子保存ですが、2016年に電子帳簿保存の要件が緩和され、経理業務のペーパーレス化に関心が集まっています。現時点では8割もの企業が様子見の現状ですが、2016年9月30日以降に申請を行うスキャナ保存については、実用性が高く導入を検討する余地が高まっています。
■電子帳簿保存とは
所轄税務署長等の承認を受けたときは、記録の真実性及び可視性等の確保の元で、その電磁的記録の保存をもってその帳簿の保存に代えることができる、とされています。
つまり、見積書・納品書・請求書・領収証・レシートを保存する代わりに、スキャナやスマートフォンで取り込んだ画像データを保存することが可能になるという制度です。
■主な要件
電子計算機処理システム要件
・訂正又は削除を行った場合、または通常の期間を超えて処理した場合には、これらの事実及び内容を確認することができること
・取引年月日、勘定科目、取引金額、範囲指定等の検索が可能であること
・タイムスタンプ処理が可能であること
※スマートフォンを利用した場合の撮影日時はタイムスタンプの要件を満たしていません。専用アプリ
をダウンロードすることで利用可能になります。
運用要件
・3日以内に認定事業者によるタイムスタンプ処理が行われること
・最低年1回以上、各事務を行っている者以外の者の検査が行われること(税理士等)
■解説
これまで、大量の証憑が発生する大企業以外は、電子帳簿の恩恵を受けられなかったこの制度ですが、要件緩和により中小企業にも利用の可能性が高まりました。特筆すべきは、スマートフォンのカメラの利用が、会計ソフトの技術進歩と重なることで業務改善につながることです。現在、複数の会計ソフトは、電子帳簿が会計ソフトと連動するようになってきています。
これにより、
①撮影時にある程度仕訳が完了する
②画像自体に日時・金額等が記録されているので検索が容易になる
③ファイリング作業が軽減する
といったメリットを受けられるようになりました。
この制度を適用するためには、適用期間の3ヵ月前までに申請したのち、複数の要件を満たす必要があります。申請書類や申請方法については、国税庁のホームページや最寄りの税務署へお問い合わせ下さい。