ちょっと気になる経理処理

2016.07.01

助成金の経理処理

 雇用安定、職場環境の改善、仕事と家庭の両立支援、従業員の能力向上のために、雇用関係の助成金を活用する事業主様も増えているのではないでしょうか。

助成金は、申請書類を提出し、決定通知書が届き、その後口座へ入金されます。
雇用に関する助成金・補助金は、雑収入として収益に計上しますが、計上時期はいつになるのでしょうか?

法人税基本通達では以下のように定めています。
定年の延長、高齢者及び身体障害者の雇用等の雇用の改善を図ったこと等により受ける奨励金等の額に
 ついては、その支給決定があった日の属する事業年度の益金の額に算入する。

(高齢者雇用安定助成金、特定求職者雇用開発助成金、障害者トライアル雇用奨励金等)

休業手当、賃金、職業訓練費等の経費を補填するために受ける給付金等については、その給付の原因と
 なった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する事業年度終了の日において確定していない場
 合であっても、その金額を見積り、当該事業年度の益金の額に算入する。

(キャリア形成促進助成金、両立支援等助成金、介護支援取組助成金等)

したがって、税法上の処理としては、決定通知書が届いた際、あるいは給付原因の発生した年度末に計上します。ただ、この時点ではまだ入金されていないため、
(借方)未収入金 /(貸方)雑収入 と計上します。    

その後、口座へ入金された時に、
(借方)普通預金 /(貸方)未収入金 と振替します。

実務上は、計上時期と入金日が同じ年度内であれば、助成金が口座へ入金された時に、収益計上しても問題はありません。

また、助成金の性質が「①雇用の改善等に対する奨励」なのか「②経費の補填」なのかによって収入を計上する年度が異なるので注意する必要があります。

①に関して、支給決定日と入金日が決算をまたぐ場合は、決算期に未収入金として計上しなければなりません。
また、②のような助成金であれば決定通知書が届いていない場合は合理的に金額を見積り、計上しなければなりません。
助成金が①、②のどちらに該当するのか等、判断が難しい場合は弊社までご相談ください。