役員コラム

2025.07.07

50歳

㈱あさひ合同会計 代表取締役社長 藤原 耕司

 今年、50歳を迎え、「天命を知る」の道のりは長いことに気づくが、それなりに節目は意識するようになった。

 税理士は長く続けられる職業ではあるが、経営という役割を担いながら実務をこなすとなると、それなりに体力や気力の維持が必要で、第一線で今のような働き方ができるのはあと10年程度。以降は会社の事業承継に取り組みながら、それまでに得た知識や経験を次世代のサポートや社会への還元に生かすことが今のところの目標。

 仕事を離れると、同窓会などで恩師や昔の友人たちと再会する機会が増えた。関係の深さやその時々の状況に応じ、ざっくばらんに話すこともあれば、近況報告程度になることもあるが、共通して感じるのは、思い出話を共有し、懐かしんだりお互いの記憶のズレに驚いたりしながら、時間があっという間に過ぎること。

 そうした会の中で、数年前から難病と闘っている旧友に会った。参加時間も限られているが、顔を見ると、一緒に野球をしていた頃の思い出が浮かび、話しかける。病気の進行により会話はままならないが、一生懸命うなずく姿を見ると、こみ上げるものがある。若い頃は、病気や障害を持つ方々と接した際、「かわいそう」という感情が先に立った。しかし歳を重ねるうちに、表面的な状況だけで考えることが恥ずかしく、物理的・環境的な制約がある中でも、自分ができることをこなし、毎日を丁寧に過ごす姿勢こそが尊いものだと思えるようになり、そうした姿に触れるたび、「自分も負けていられない」という気持ちを強くする。

 半世紀を過ごし、挫折や失敗もたくさんあり、ささやかな幸せもあり。思ったように物事が進むことも、そうでないことも。そうした繰り返しの中で、体力・能力・仕事・プライベートなど、様々なことで天井が見え始める。目標や期待を持ちながらも、若い頃のような根拠のない自信は持てない。それでも、難病を抱えながら、毎日を大切に過ごし、旧友たちとありのままの姿で旧交を温める同級生に負けないよう、自分ができることに全力を尽くしたい。