役員コラム

2024.09.06

パリオリンピック

㈱あさひ合同会計 代表取締役会長 髙木 正男

私の専門の自転車競技トラック種目はパリ五輪での期待が相当大きかった。なかでも岡山の太田海也が出場する短距離三種目は、この1年間世界選手権やそれに準ずる国際大会で金を含めメダルを多数獲得して、五輪でもメダル確実と考えられていた。

このことを一人でも多くの人に知ってもらい応援してもらうため「今までの運が良かったらメダルがとれるレベルから、今回は運が悪かったらメダルが取れないレベルになっている」とふれ回っていた。

8月6日から11日まで日本時間真夜中、TV中継が少ないので画像と英語MCだけのネット放送で全力LIVE応援。毎日睡眠時間4時間弱で乗り切った。

しかし現実はこちらが日本記録を更新しても、相手は世界記録更新という想像絶する力を発揮されて金銀争いは完敗であった。結果的に銅メダル狙いとなったが、これは可能なところまで実力が上昇してきたのも事実だが、運が味方しなかった。海也出場の三種目とも日本人には理解できない不条理な判定に泣かされメダルの可能性を摘み取られてしまった。次のロスでは判定など関係ない実力をつけて臨むだけだ。

日本ではマイナーなフェンシングと自転車、フランスでは国技と準国技の人気スポーツ。両方ともオリンピックでの活躍でマイナー脱出を図ったが、メダルラッシュのフェンシングに完全に差をつけられてしまった。

それでもケイリン決勝戦のゴール前落車で惜しくも銅メダルを逃し骨折した中野慎詞を除く競輪選手五名は、競技翌日13時間のフライトで日本に到着したその日から本職のオールスター競輪に参加した。ガールズ優勝の佐藤水菜をはじめ優勝戦には上がれなかったが海也が3勝、小原佑太は2勝と頑張って結果を残した。極限の後の1週間よく体力気力が維持できたものだ。人間業を超えた経験は必ず次に繋がると信じる。本当に彼らを誇りに思う。

  

最後に、心配されたテロは無くて良かったが、平和の祭典の最中にも世界の紛争地域では人と人との殺戮が止むことは無かった。たとえ一時的な停戦であっても、誰のために何のために、なぜ人殺しまでしているのか、させられているのか。考える人が増えるのではないか。ルールに則ったスポーツの戦いで紛争が代えられたら、お互いの尊厳を理解し合った戦いで終わるノーサイドの精神は、21世紀の人類の証。それを後世に、さらには地球外生命体にまで見せられたら幸せだったのだが。