役員コラム

2024.06.05

平和

㈱あさひ合同会計 代表取締役会長 髙木 正男

 世界で戦争・紛争が終わらない。どころか拡大している。2年前、ロシアがウクライナに侵攻した直後、このコラムで二回連続反戦を訴えた。「国連安保理の常任理事国が主権国家に殴り込み民間人まで無差別攻撃、テロ行為だ」「話し合いの余地を持たない者に戦い以外で解らせる方法はあるのか」「相手を尊び痛みを分かち合う心をもって話し合いで解決に向かうのが21世紀人のすべきことだろう」と。

 とはいえ、当時は半年か永くとも1年も経てば戦争は終わるものと高を括っていた。誰のために殺し合わないといけないのか。我々から見れば親戚同士の国家間で。さらには経済制裁の力ももっと働くものと思っていた。

 しかし現実は甘くなかった。ロシアという国・民族の歴史・性格・考え方は西側の常識が通用するものではなかった。全くの理解不足を痛感する。

 泥沼化の最中に、イスラエル・ハマス、パレスチナの紛争が始まった。複雑にたくさんの思惑が入り乱れて正解が益々解らなくなってしまった。そんな中で政治的にも経済的にも漁夫の利を得るものが出ている。腹立たしく、残念で、悲しい。 

 「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」「力による一方的な現状変更は許されない」これは、いかなる場合においても戦争はしないという考え方。国連に加盟する国なら最も尊重される恒久的ルールだと思っていた。しかし世界には専制主義やそれと同等の国がこんなにもたくさんあるのか。こちら側からすると身勝手なルールがまかり通ってしまう。いまさらながら思い知らされ、平和ボケの自分を反省する。

 日本は過去の戦争を教訓にして約80年間、自衛隊は1人の戦死者も出さず、他国の兵士を1人も殺戮していない、という。平和に暮らさせてもらっているが、北方領土は、尖閣列島は、竹島は、拉致被害者は、様々な国際問題は残ったままである。それでも攻撃軍事力を持たず話し合いだけで臨むため解決に時間がかかることも理解している。決して忘れたり諦めたりしているのではない。この日本の平和主義の行動は、良いタイミングでもっと世界にアピールすべきではないか。

 文化や考え方の違う国に進出して成功した ものづくり企業の方は言っている「対立を回避しながら色々な状況を見て、理解を得られるまで粘り強く話し合って丁寧に決める」これを忘れて成功は無いと。