役員コラム
2023.07.03
良い印象<悪い印象
㈱あさひ合同会計 代表取締役所長 藤原 耕司
最近のこと。昼食のお店はどこにしよう。日々、些細なことも選択の連続。頭に浮かんだお店に立ち寄ると、その日はあいにく臨時休業。次に向かったお店も臨時休業。3件目は営業していたものの、手持ちが少ないことに気づき、また、キャッシュレスが利用できないお店のため、食後のコーヒーは頼めない・・・。
つい「マーフィの法則」を連想する。マーフィの法則とは、「意図する結果よりも、不利な結果が起こる可能性が高い」というもの。血液型診断と同様に科学的な根拠は乏しく、ジョークの類と位置付けられるが。ちなみに、次のようなことも。
「急いでいるときに限って、赤信号にひっかかる※1」
「デートがあるのに髪型が決まらない※2」
このマーフィの法則、私と同世代の方はご存じかと思われるが、最近の若者、いわゆるZ世代にはなじみが薄いよう※3。
最近の日本証券市場は好況で、日経平均株価はバブル経済崩壊後の最高値を更新。
政府が掲げる“貯蓄から投資へ”がいよいよ定着する兆しか?と思いきや、株価に大きく影響を与えているのは、外国投資家による買い越しとのこと。
「プロスペクト理論」というものがある。この理論によれば、同じ金額の損失と利益は、主観的な評価において異なる重み付けがされる。具体的には、同じ金額の損失は同じ金額の利益よりも大きく感じられる傾向があり、結果として、リスクに対して客観的な判断や行動が取りにくくなる。バブル崩壊から長く時が経つが、大きな損失を被ったバブル世代や、同じく若い時期にITバブル崩壊やリーマンショックを経験した氷河期世代は特に、投資リスクをより大きく捉えているのかもしれない※4。
プロスペクト理論は行動経済学として研究されている。経営者の方から“今期は賞与を上乗せ支給したい。従業員の方には喜ばれるが、次の年に上乗せ支給が無いと、(前年のことは過小評価され)物足りなく受け止められる”という相談を受けることもあるが、これも同理論から説明できる。
論理や正論だけでなく、そうした認知バイアスが絡み、さらに結果はその時の風向きにも左右されるから、日々の生活も投資も経営も難しい。それでも、心理構造や傾向を知れば、心のバランスをとりやすく、より冷静な思考ができる気がする。
※1 時々ある
※2 結婚前、まだ髪の量が十分あった若かりし頃のこと
※3 個人差あり(Z世代とひとくくりにするのは禁物)
※4 個人差あり(こちらも世代をひとくくりにするのは禁物)