役員コラム

2022.06.03

ぶつぶつ言わない

㈱あさひ合同会計 副所長 藤原 耕司

春先で驚いたのは、プロ野球ロッテの佐々木朗希投手の完全試合。
プロ入り3年目での快挙。地上波放送がなくテレビ観戦はできなかったが、YouTubeの編集動画を見て身震い。さらに、次の登板も8回までながら完全投球。凄い。
佐々木投手といえば、高校最後の夏 岩手大会決勝戦の登板回避に賛否両論。プロ入りしてからも、大事に育てられることに対して意見が分かれ、完全試合の後、数試合登板した後、一時的に2軍で調整すると、また一部批判あり。

雑誌 日経ビジネスで以前、「ゆるブラック企業」なるものが取り上げられていた。
ゆるブラック企業では、残業は少なく、人間関係も良好で会社での居心地はよい。
いわゆる働き方改革も進んでいる。一方で任せられる仕事の範囲や量がそれほど増えず、結果としてやりがいが得られにくい、給料もそれほど上がらない会社のことらしい。
ゆるいので満足という社員もいれば、仕事能力が身につかないので、自身の将来や会社の万が一に不安を感じる社員もいるという内容。
ブラック企業はダメだが、現状+α、少しきついなと感じる(適度な)負荷がかかることで成長するのはスポーツも仕事も同じで、その心配もよく分かる。

残業管理、有給消化、介護休暇、男性の育休、副業、女性役員登用、週休3日制、ジョブ型雇用、在宅、ワーケーション・・・と働き方を巡る検討や制度化はここ数年でかなり広がりつつある。一昔前の転職35歳限界説は死語になるくらい、中高年層の転職も活発に行われ、70歳代まで働く方も増えている。資格や能力に応じて新卒時から給与に差を設ける動きもある。働く個々人の価値観(年齢や健康、環境に応じても刻々と変わる)と会社が求めることのすり合わせ、求める給与と成果・会社の業績とのバランス等、考えることは山ほどある。どの会社も手探りで必ずしも正解ばかりではないだろうが、それでも社会全体で働き方を模索する状況は良いことのように思える。

佐々木投手の話に戻るが、ロッテ球団のゆっくり大切に育てる方針に批難の声があっても、プロの野球選手。ロッテに在籍したこともある、故野村克也氏は「若い時に流さなかった汗は、年をとった時の涙となる」との言葉を残しているが、佐々木投手本人は大事にされることに甘んじず汗を流し、誰よりも結果を求めているだろう。
野球を観てもこのようについ、育成論や仕事、経営に絡めて考えてしまうが、私も含め外野がかまびすしいのは野暮というもの。純粋にこれからの長い活躍を楽しみたい。