役員コラム

2022.03.04

ほどほどに

㈱あさひ合同会計 副所長 藤原 耕司

昔懐かしいインスタントカメラで、写真を撮っている若者の姿を見かけた。
色や形からおそらく、某メーカーの商品「写ルンです」のよう。
気になって検索してみると、まだ販売していた。
枚数が限られているから、どこで何を何枚撮ろうか考え、現像に出して仕上がりまでの間もわくわく。友人や家族に配る写真は焼き増しする。
失敗するともったいないし、スマホが便利なのは間違いないが、事前の準備から写真をシェアするまでの一連の過程は楽しめた。今でも一定需要があのは納得。
スマホに比べ鮮明でないのも、修正できないのも、味があって良いのかもしれない。

相続税に関する税務調査でのこと。
税務調査官が、銀行から提供を受けた、防犯カメラ映像を打ち出した写真を示し、
「銀行ATMで現金を引き出しされている方、キャッシュカードの名義人と違いますが、どういう理由でしょう?」
きれいに映っているんですね・・・。
犯罪調査ではなく、税務調査。
裁判所から捜査令状を得て調査する、いわゆるマルサと呼ばれる(泣く税理士も黙る)国税局査察部ではなく、所轄税務署の職員から受けた質問。
悪いことをしていなくても、通常の税務調査でそこまで確認されると、やや気味が悪い。

しばらく税理士事務所の繁忙期が続く。
所得税の確定申告については、新型コロナ状況を踏まえ、過去2年は期限が一律
4月15日と1か月延びたが、国税庁から示された今年の方針は、原則3月15日。
昨年までも、3月15日にはほぼ申告手続きは完了しているが、いかがなものか。
流行中のオミクロン株は、ワクチン接種しても予防に努めても簡単に感染する。
軽症者が多いのは幸いであるものの、感染者増の状況は本当に心配。
この時期は少しの遅れが、全体に影響する。各種制限により、社員のストレスは増える。
個別事情に応じた延長手続きといったケチな方針に、つい愚痴がでる。

諸々の“うつる”、そして国の方針、いずれもほどほどが良いが、何事も思った通りにはいかない。
現実を受け入れ、できることに集中しよう。