役員コラム

2021.04.05

岡山ラインの四季

㈱あさひ合同会計 代表取締役社長 髙木 正男

今年も昨年に続き今までと違う桜の季節を迎えている。温かくなり活発で希望を感じる季節。春の宵のほのかな匂いが好きである。

3年前から犬を飼いだした。本気で犬を育てるのは人生初である。元気なジャックラッセルは散歩をせがむ。犬がいなくても散歩は日課にしていたつもりだが、多少厳しい気候でも散歩に出かけられるのは愛犬のおかげである。

京橋西詰から河川敷に降りて、旭川グラウンド、相生橋、月見橋の下をくぐり鶴見橋の麓で土手を登り岡山神社にお参りして帰宅する。このコースをクラッシックと呼んで基本コースにしていた。他に後楽園と岡山城の内側外側、距離や時間と相談しながら色々組み合わせてコースは多彩。現在は西側の護岸工事中でクラッシックが使えず、県庁横の新堰ゲートを渡り東側河川敷へ降りる。そこで綱を外した途端、放たれたように走り廻る姿、犬も飼い主も一番心躍る瞬間である。犬と散歩している方は多く、他の犬達とお友達になるのは容易だ。初めはぎこちなかったが3才にもなると犬も飼い主もベテランのように他の犬と気楽に戯れるようになった。

旭川は鶴見橋を過ぎて後楽園・岡山城を蛇行しながら巡り相生橋に至る。さながらライン川が古城を巡る風景を和風になぞらえた景色だ。小学生の時に見た地図にこの辺りを「岡山ライン」と記されていた記憶が今も残っている。しかし近年色々調べたり、お膝元の県立図書館で検索してみても残念ながらその名は出てこない。岡山ラインは独りよがりであろうか。

この地を年中散歩させてもらい、今まで以上に四季を強く感じている。春の桜や咲き乱れる花々は言うに及ばず、刈っても刈っても旺盛に伸びて、行く手を阻もうとする雑草の力強さを感じる夏。葉っぱだけでなく景色も色づく秋。草木が枯れて寒々とした冬には越冬の数多くの水鳥たちが寒風の中で和ませてくれる。生を受けて60有余年、この地を見続けてきたつもりだったが、散歩してなかったら気付かなかった四季がある。

漠然と解っているつもりのことも意識を持って当たってみると見えてくるものがある。

大げさに言えば人生の深みに一歩近づけてくれた犬に感謝している。