役員コラム
2021.03.04
見えないけど
㈱あさひ合同会計 副所長 藤原 耕司
数年前に、男性が洋式トイレを使用する際、座るか立つかという話になったことがある。
若者を中心に世の中では座る派が増えていた。
酩酊状態でなければコントロールは問題ない。
うっかりストライクゾーンから外れた場合は、きちんと拭き掃除もする。
それでいいのではと思いながら妻に聞いてみると、「座ってくれると嬉しいけど」。
ストライクでも目に見えない粒子は飛んでいるそう。
それでも、目に見えないものに過敏になるのはどうかと考え、その時は立つ派を継続。
しかし、昨年来の生活様式変化にあわせ、洋式トイレの使い方を見直し。
彼のウィルスも粒子も、目に見えないけど衛生面で気をつけるべきという意味で本質は一緒、
ふとそう思うようになり、自然と座る派に。
やっかいなウィルスとの共存は続く。
順次進められるワクチン接種が有効でも、治療薬の開発が進んでも、
普段から衛生面に気をつけ、密を避ける意識や行動の大切さは変わらないのだろう。
医療従事者への感謝や意図せず感染された方への配慮もそう。忘れてはいけない。
考えてみると、仕事においても目に見えないものの大切さは同じ。
例えば、相続や事業承継対策。
相続争いにならないよう遺言を残す、税金対策として生前贈与する、自社株式承継を工夫し税負担を抑える、M&Aを活用する。どれも大切な取り組みだが、それらはあくまでも手段。
関係者の想い、家族間の意思疎通、会社の風土形成がしっかりあってのこと。
目に見えないものをいかに想像し大切にし、時に形づけるか。
それには時間もかかる。
個人的な生活“洋式”の変化は家族にも喜ばれている。
家庭でも仕事でも、目に見えないことに気を配りたい。
今年は丑年。牛歩も千里の気持ちで。