役員コラム

2018.04.01

管理者のコミュニケーション

 

㈱あさひ合同会計 取締役 光岡 敬一

 ある会社の『幹部の資格十戒』の2番目に『部下を育てる能力のないものは幹部とはいえない。自分より勝れた後継者をより多く育てることが幹部の資格の最たるものである。』とあります。

 組織における人材育成の原点は、管理者による仕事を通じた指導・育成であると思います。しかし、この場合、管理者のコミュニケーション能力に負うところが大きく、各管理者のコミュニケーション能力により、部下職員の育成の成否が分かれます。

 そもそもコミュニケーションとは何か。ある文献によると『感情を互いに理解し合い、意味を互いに理解し合うこと。感情面に気を配って、意味を分かち合い、信頼関係を築いていくこと。』とあります。

 つまり、一方的に会社の方針や考え方を伝え、指示を伝達するだけではコミュニケーションが十分に取れているとはいえない。指示・伝達の際には、相手の感情にも配慮した上で、指示の内容を十分に理解し合って、相互に信頼関係を築いて初めてコミュニケーションが取れているといえるでしょう。

 しかし、管理者と部下職員の間のコミュニケーションはなかなか難しいものがあります。自分にはコミュニケーション能力はあると言っていた人が、役職に就いたとたんに部下職員との間に壁・距離を感じ、うまくコミュニケーションが取れなくなったという話を聞きます。

 この解決策として有効なのが、『ホウレンソウ(報告・連絡・相談)』です。一般的に、『ホウレンソウ』は、上司が部下職員に求めるものとされていますが、これを管理者から部下職員に対して積極的に行うことで管理者の人間性が伝わり、肩書や役職を離れた、個として向き合う関係が構築できやすくなります。特にベテランの部下職員に対し、部下職員の得意分野について、あえて管理者の方から相談を持ちかけることは、より深い信頼関係の醸成にもつながります。

 こうして見てくると、コミュニケーションの要諦は管理者と部下職員間の相互の信頼関係の構築であるといえます。そのため管理者には

① 自らの言葉遣いに敏感になり、慎重を期す。言葉は、時に相手を傷つけることがあります。自分の言葉を相手がどのように受け止めているか
  敏感にならなければなりません。

② 部下職員を個人として尊重する。

③ 部下職員に自信をもたらすような関わり方をする。

④ 一方的な指導ではなく、部下職員に動機付けるような関わり方をする。

 このようなことが求められるのではないでしょうか。
かく言う私『先ず隗(かい)より始めよ』の声が聞こえそうですが・・・。