役員コラム

2016.04.01

手 紙

㈱あさひ合同会計 取締役 今田 泉美

 1月に広島へ転勤していった友人から、先日、荷物が届いた。中にはバラの入浴剤と一緒に手紙が入っていた。彼女と知り合って2年になる。

 2年前、50歳という節目を目前にし、10年後の60歳を見据えて自分がどうなっていたいかを考えた。そして、ある資格を目指して勉強を始めた。
 過去問を解いては、間違えたところを暗記カードに書き写し、繰り返し覚える・・・という大学受験のときのような勉強をした。その甲斐あって、なんとか一次試験はクリアした。

 次の二次試験はロープレと口頭試問。これは一人でできるものではなく、ロープレの相手が必要となるため、受験生同士で市内の会議室を借りては、休日に勉強会を自主開催している。二次試験対策としてプロが教えている勉強会は岡山にはなく、情報をネットで探して他府県まで受講をしに出かけることもある。

 毎回、自分のロープレは録音をとり、自分の拙いロープレと先生からのフィードバックを自宅で何度も聞いてみる。
 フィードバックというのは軍事用語でもあるらしく、「目標物にどれだけ距離が不足しているか、あるいは角度が何度ずれているか、ということを客観的に伝える」という意味があるそうだ。時には、ストレートすぎてグサリと胸に突き刺さることもある。でも、もっと上手くなりたいと思うから、またトライする。

 「相手をより良くしたい」そして「自分がより良くなりたい」というお互いの信頼関係のもとで、フィードバックしていただけることはかなり貴重ではないだろうか。この年齢になると、そんなに言っていただけなくなるから、本当にありがたい。手厳しいフィードバックを聞くことはつらいけれど、自分にとって大切なヒントばかりだから、真摯に受け止めたい。
 そんな勉強会を通じて知り合った人たちとは、年齢や性別、置かれた環境手紙に関わらず、戦友のような存在となる。
 広島に転勤となった彼女は、大手企業の総合職として働く転勤族。

 私とは親子ほども年が離れているが、妙にウマが合い、美味しいものをいただきながら今後のことなど語り合う親友となった。手紙には私のことを「自分の人生で、大きな影響を与えてくれた人」と表現してくれていた。彼女はまた新しい場所で、新しい人たちと、新しい出来事を経験していく。その中でまた、自分をブラッシュアップしていくに違いない。
 私もいつもの慣れた場所だけでなく、もっと新しい学びの場に身を置いて、もっと視野を拡げていく努力をしていかなきゃいけないな。
 彼女の手紙を読んでそう感じた。