役員コラム

ネットリンクス㈱　代表取締役　前田　洋一

　６月初めの休日の夕方。岡山駅の新幹線改札口でT社長ご夫婦に８年ぶりに出逢いました。「久しぶりじゃなあ。元気にしとった。」と笑顔で声をかけてくださいました。

　自分と関わりのあるすべてのお客様を黒字にしたい。そのためにお客様に寄り添って、親身になって助言を行いたい。といつも考えています。今では、心から堂々とこの事が言えるようになりましたが、８年前のまだ経営者になる前の私はどうだったのでしょうか？

　T社長と初めて会ったのは、お客様の忘年会でした。たまたま隣に座らせていただき、お酒を飲んで意気投合して、その後T社長が設立する会社の税務顧問をさせていただきました。この会社は毎年増収増益を続け、従業員さんも年々増えていきました。社外でただ一人だけ社員旅行に招待してくださったことも当たり前のように感じていました。信頼されていたはずです。

　そんなある時、私はT社長に対して信頼を裏切る行為をしてしまったのです。自分の都合ばかり優先させてお客様の事など二の次。アドバイスどころかきちんと報告もしない。こんな事が許されるわけがありません。クレームが入りました。でも一度くらいの失敗は、T社長は許してくれるだろうと考えていました。甘えていたのです。その結果、顧問契約を解除されました。当然です。深く反省しました。この事があってから仕事に対するスタンスが変わりました。

お客様の立場に立って、お客様に喜んでいただける事だけを考えて仕事をしようと思い直しました。いつかはT社長に認めていただきたいなと思い仕事をしています。仕事の質を上げる事には時間もお金も惜しまないようにします。お客様に喜んでいただける行動については、「メンドクサイ」は許しません。
　営業する会社にとって、移動時間ほど無駄な時間はありません。ご来社いただけるお客様は神様のような存在です。思いっきりおもてなしさせていただきます。

　ご来社いただいたお客様をウェルカムボードでお出迎えする事にしました。お好きな飲み物をメニューから選んでいただくようにもしました。この他にも、いろいろと工夫を凝らして、おもてなしをさせていただきます。表町付近で喉が渇いたり、涼む場所をお探しならば、用事がなくてもお気軽にご来社ください。各種の冷たいお飲み物と、最高のスマイルを用意してお待ちしております。

　６月中旬の平日の夜。
　ある会合の帰りに、岡山駅で少し酔っ払ったT社長に偶然にも再び出逢いました。今度はこちらから声をかけ、握手をしながら「あなたのおかげで今の自分がある。」と常々考えている感謝の気持ちを伝えました。T社長がおっしゃいました。「ありがとう。また飲みに行こう。」渇望していた免罪符を与えられました。お酒が入っての言葉なので、本人はもう忘れているかもしれませんが、いつの日にか、本当に飲みに行ける日が来れば良いなと思っています。