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2026.08.12
相続税対策として養子縁組が行われることがありますが、「節税目的の養子縁組は有効なのか」が争われたのが平成29年1月31日の最高裁判決です。今回は、その判決の内容と実務上のポイントを整理します。
1.争いの概要
父(被相続人)は生前、税理士から「孫を養子にすると相続税の軽減につながる」との説明を受けました。これをきっかけに、長男夫妻が親権者として養子縁組届を提出し、1歳の孫との養子縁組が成立しました。

その後、父が亡くなると、長女と次女は「節税だけを目的とした養子縁組であり、本当に親子となる意思はなかった」と主張し、養子縁組の無効確認を求めて提訴しました(本件は税務署との争いではなく、相続人同士による民事訴訟です)。
2.最高裁判決のポイント
最高裁は、養子縁組を有効と判断しました。「相続税の節税という動機」と「親子関係を成立させる意思」は両立し得るとしています。節税が主な目的であっても、そのことだけで養子縁組が無効になるわけではなく、法律上の養子縁組をする意思が認められる限り、有効であると示しました。
(参考:高裁での判断)
最高裁判決に先立つ高裁判決では、税理士から節税効果の説明を受けていたことなどを重視し、「親子となる真意は認められない」として 養子縁組を無効と判断していました。
3.実務で気にする点
この判決は「節税目的の養子縁組でも必ず認められる」と判断したものではありません。
ポイントは、実際に親子として迎え入れる意思があり、法律に従って適正に養子縁組が行われていることです。
なお、本件の判断には直接関係しませんが、養子縁組後に、父(生前)と長男の関係が悪化したのか、父から離縁届が提出されています。その後、長男側が離縁無効を訴え、裁判では長男の主張が認められ離縁無効が確定しています(父の生前の別裁判)。
養子縁組は相続税だけでなく、法定相続分や遺留分、さらには家族関係そのものにも大きな影響を及ぼします。節税効果だけに目を向けるのではなく、ご家族全体の将来を見据えて慎重に検討することが大切です。
※内容は執筆時点の法律等に基づき整理しています。制度改正があるほか、内容につきましては、情報の提供を目的として一般的な取り扱いを記載しております。対策の立案・実行については、専門家にご相談の上進めていただきますようお願い申し上げます。