相続・事業承継あれこれ

2024.11.08

法人がM&Aにより他社株式を取得した場合の税制優遇

M&Aにより取得した株式について、一定額を損金にできる優遇措置が設けられています。

 【原則の取り扱い】
  ・株式を取得した場合、支払額は資産計上(子会社株式等)し、損金にはできません。

 
 【優遇措置の取り扱い】
  ・株式取得額の70%を上限として、法人税等の計算上、損金にすることができます。
(事例)
A社はM&AによりB社株式を3億円で取得し、B社を子会社化(2025年3月期)
→A社は3億円×70%=2.1億円を損金にすることができます。
  ・留意点
上記事例において、A社は株式取得時の事業年度に損金とした金額(2.1億)について、M&Aから5年経過した後から5年間、均等額を益金に計上する必要があります。
→2.1億÷5年=4,200万円を毎期※益金に計上します。
※2031年12月期~2035年12月期(5事業年度)
 
つまり、この優遇措置は課税の繰り延べであり、最終的な法人税等の負担が減るわけではありません。ただし、投資時の法人税等負担を抑えることにより、M&A直後の事業資金を確保する助けとなります。
◇制度の主な概要
     
◇手続きの流れ
  
◇税制改正(2024年度税制改正)
    上記措置をさらに拡充した制度が設けられており、次月号で整理予定です。

※内容は執筆時点の法律等に基づき整理しています。制度改正があるほか、内容につきましては、情報の提供を目的として一般的な取り扱いを記載しております。対策の立案・実行については、専門家にご相談の上進めていただきますようお願い申し上げます。