相続・事業承継あれこれ

2024.06.10

会社代表者・住所の一部非表示措置(会社の登記事項証明書等)

会社代表者の住所を一部非表示とする措置「代表取締役等住所非表示措置」が2024年10月1日から施行されます。その概要と留意点を整理します。


1. 現状の取り扱いと非表示措置導入背景
 会社代表者等の住所は会社の登記事項証明書等に記載されています。登記事項証明書等は、法務局での手続きや登記情報提供サービスの利用により、手数料を支払えば、誰でも取得することができます。
 代表者の住所が公開されているのは、公正で円滑な商取引を行うためとされ、具体的には、信用情報や、訴訟等で会社ほか代表者に確実に連絡が取れるように、という意味があります。
 他方、以前からプライバシー保護を求める声も多く、一定要件の下で、住所の一部非表示が認められる措置が設けられます。施行日は今年(2024年)101日です。

2.    一部非表示措置の概要
(1)住所の記載範囲
  代表者等の住所表記を市区町村(最小行政区画)まで、とすることができます。
(2)非表示にできるタイミング 
  ① 会社の設立時
  ② 代表取締役等の就任時
  ③ 代表取締役等の住所移転時
  ※既存の会社については、今後、上記②③の事由があるタイミングで非表示とすることができます。
(3)手続き(上場していない株式会社の場合)
  非表示措置を申し出るにあたり、代表取締役等の住民票の写しほか、所定の書面提出が必要です。なお、非表示とした後も、代表者等に住所変更があった場合は、変更があった旨を申請する必要はあります。

3.    留意点
 法務省の案内資料では下記が挙げられています。
・金融機関から融資を受けるにあたり不都合が生じる可能性があること
・不動産取引等にあたり必要な書類(会社の印鑑証明書等)が増える可能性があること

4.    その他参考
 今回の措置は株式会社を対象としており、最近利用されることが増えている合同会社は非表示措置の対象外です。なお、現状でも、マンションに居住の場合はマンション名や部屋番号を省略できるほか、ストーカー被害等がある場合に住所を非公開とすることはできます。