相続・事業承継あれこれ

2022.11.11

親名義の家屋に子の資金で増改築する場合の贈与税

親名義の家屋に子の資金で増改築する場合、その方法により贈与税負担が変わります。

【ご相談内容】
私(子、40歳)は、父名義の家屋を増改築して居住するつもりです。状況としては下記の通りですが、贈与税はかかりますか?



(1)原則の取り扱い
親名義の家屋に、子の資金で増改築する場合、子から親に贈与があったとして、親に贈与税がかかります。
増改築資金が2,000万円の場合、親が支払う贈与税の額は695万円です。
   

(2)贈与税を抑える検討
下記acが考えられます。

  1. 親が子から増改築資金を借りて、親が増改築をする
    ・親は子に返済する必要がありますが、親の贈与税は回避できます。
    (親族内での金銭の貸し借りに関する留意点は、information20198月号参照)
  2. 親名義の家屋を子に贈与した後に、子が増改築する
    ・家屋の評価額に応じて、子に贈与税がかかります。
    家屋の評価額が500万円の場合、子が支払う贈与税額は48.5万円です。
  3. 子が増改築し、増改築資金に応じた持分を登記する
    ・今回の事例では、子が負担した資金額に応じ家屋の4/5を子名義の持分とします。
    この場合、親子ともに、贈与税はかかりません。
    (参考:今回の事例で子名義とする持分の計算)


  

(その他:親における譲渡税について)
親は子に4/5相当額の持分を譲渡したものとして取り扱われますが、実際に譲渡所得が発生し、譲渡税負担が生じることは少ないと思われます。