相続・事業承継あれこれ
2021.06.17
~株主が亡くなった場合の議決権行使~会社オーナーの相続に備える~
株主が亡くなった場合、株主の家族(相続人等)がその株式を相続します。
その際、家族間で財産分けの話し合いが難航し、株式を相続する者が決まらないまま株主総会を迎えた場合に議決権がどのように行使されるか、その取り扱いを整理します。
1.株主が亡くなった場合の議決権行使~事例で考える~
2.会社法の取り扱い~準共有~
準共有者(事例では母・長男・次男)のうち、権利行使者1名を選任します。
選任方法は、多数決によって決めるものと解釈されています。
また、相続人間で準共有となっている場合、多数決の票数は各相続人の法定相続分を基に考えます。
事例において、母が次男側につくと、母1/2+次男1/4=3/4>長男1/4となり、次男が権利行使者として選任されます。その結果、次男が父の120株分全てについて議決権を行使します。
(この場合、次男の議決権数が過半数を越えることから、長男は解任される恐れもあります)
3.事前の対策~遺言~
今回の事例では、会社オーナーである父が生前、後継者である長男に株式を相続させる内容の遺言を準備しておけば、家族間でのトラブルを防ぐことができ、会社経営への影響を抑えることができました。
(参考)
会社オーナーに関しては、所有する財産のうちに、会社株式等の事業関連資産が占める割合が高く、会社後継者である相続人と、そうでない相続人との間で相続割合に偏りがでる傾向があります。
また、事業関連資産は換金性に乏しいことが一般的で、会社後継者は相続する財産が多くても、納税資金に頭を悩ますことになります。会社オーナーは年齢を重ねても元気な方が多いですが(遺言に限らず)、万が一に備えた生前からの取り組みが必要です。