相続・事業承継あれこれ

2020.10.12

金のあれこれ

このところ金(ゴールド)の価格が上昇しています。保有形態には、金の延べ棒のような金地金(インゴット)、金貨、純金積み立て等がありますが、今月は、その金を相続・贈与、売却する場合の取り扱いとポイントを整理します。

【1】金の相続・贈与
相続した場合は相続税が、贈与した場合は贈与税がかかります。
税金計算の基となる金の評価額は、相続日(又は贈与日)の貴金属業者の買い取り価格です。
具体的には、貴金属業者のホームページや、貴金属業者への問い合わせにより確認できます。

☆参考:金の仏具等
相続税計算上、仏具等は非課税とされており、それは金製品であっても同じです。
ただし、日常的に祭具として使用していない場合は、「骨董品」として課税されます。
祭具、骨董品のいずれであるか、明確な基準はないため、祭具として実際に使用していることを客観的に説明できる準備が必要です(節税目的での安易な購入はトラブルの原因となります)。

【2】金の売却
売却金額が購入金額と諸費用を超え、利益(譲渡益)が出る場合は、所得税等の対象です。
ただし計算上、通常は「総合課税分の譲渡」として、譲渡益から50万円が控除されます※。
そのため、年間の譲渡益が(金の売却以外の総合課税譲渡分も含めて)50万円以内であれば、所得税等はかかりません。
 ※保有期間が5年を超えている場合は、50万円控除後の譲渡益が2分の1となり、さらに有利です
 ※営利目的で売買を繰り返している場合や金投資口座等での取引については、計算方法が変わります
☆参考:税務署へ提出される支払調書
売却額が200万円を超える場合、売却者の氏名・住所・マイナンバーが記載された支払調書が、買い取り業者から税務署へ提出されます(申告漏れがないよう注意が必要です)。

【3】金の税金対策~金地金の分割~
税金対策として、既に保有している金地金を分割(小分け)することがあります。
例えば、1キロの金を100グラムずつ、10個に分割した場合のメリットは下記の通りです。
◇贈与する場合
金1キロの価格は執筆時点では約700万円ですが、10個に分けると各約70万円となり、贈与税の年間非課税枠(110万円)内で生前贈与することができます。
◇売却する場合
上記2の通り、年間の譲渡益が50万以内であれば、原則として所得税等はかかりません。
分割し、複数年にわけて譲渡することにより、その50万円の枠を有効活用できます。
一方で、分割するにあたり、貴金属業者へ支払う手数料がかかるといったデメリットはあります。