相続・事業承継あれこれ
2020.09.09
法務局での自筆証書遺言の保管~令和2年7月10日から開始~
遺言者が自ら作成する「自筆証書遺言」は自宅での保管が多く、紛失や偽造などが起こる可能性があります。そうした問題を防ぐため、遺言書を法務局で保管してもらえる制度ができました。
保管申請時に法務局で支払う手数料は、保管年数に関係なく、1通につき3,900円です。
【1】保管中の取り扱い
遺言者は遺言書の内容を閲覧したり、変更することができます。遺言を取りやめたい場合は、預けた遺言書を返してもらうこともできます。なお、遺言者以外の相続人等は、遺言者が亡くなる前に、遺言書の保管有無や遺言書の内容を確認することはできません。
(参考:遺言者死亡時の相続人等への連絡)
遺言者が希望すれば、遺言者が亡くなった際、遺言書が保管されていることを相続人等に連絡してもらえます。
この取り扱いは令和3年度頃※から始まる予定です。
※執筆時点では、正式な開始時期は未確定
【2】注意点
法務局において、自筆証書遺言の形式不備についての確認はありますが、遺言書の内容が遺言者や家族等にとって望ましいものになっているかどうかの相談や指導は受けられません。
下記のような場合は、専門家に遺言書の内容を相談する、又は公証役場で手続きを行う「公正証書遺言」とすることが、一般的には望ましいです。
・不動産や自社株など、分けにくい財産が多い
・家族の仲が悪い/過去に特定の家族へ援助(贈与)している
・相続人が兄弟(甥姪含む)である/前配偶者との間の子や認知した子がいる
・法定相続人でない者に財産を渡したい/財産を寄付したい
・相続人等の相続税の負担減となる内容としたい