相続・事業承継あれこれ

2020.02.10

~岡山県の相続税調査実績(令和元年12月公表分)~

昨年末、国税庁より平成30事務年度(平成30年7月~令和元年6月)の相続税の調査実績が公表されました。
岡山県では調査件数が大幅に減少している等の特徴があります。

【1】 岡山県の特徴

(1)調査件数は大幅に減少
(2)否認割合はやや増加

(3)重加算税の対象は大幅に増加

具体的な数字で見ると下記の通りです。

全国の調査件数(全国の統計)は昨年度とほぼ同じ水準ですが、岡山県の調査件数は大幅に減少しました。
理由として、西日本豪雨災害の影響等が考えられます。

なお、申告漏れの割合はやや増加していること、また、重加算税の賦課件数は大幅に増加していることから、ある程度対象者を絞り、重点的に調査を行ったようです。)



【2】 申告漏れの内容

今回公表された平成30事務年度に限らず、申告漏れの割合は例年80%代で推移しています。
意図的な財産隠しではない、下記のような指摘が多く、申告にあたっては注意が必要です。

〇相続直前の預金引出額の未計上
葬式費用等の支払いに備え、あらかじめ預金を引き出すケースは多いと思います。
引き出すことは問題ありませんが、「現金」として計上する必要があります。
〇家族名義の財産(預金や株式など)
原資が亡くなった方(以下「被相続人」)であり、贈与の手続きをしていない場合等には、実質的な財産は亡くなった方のものとして取り扱われることがあります。

〇死亡保険金の受け取り事由が発生していない保険契約
 被相続人が生前、家族を対象とした保険契約を結び、保険料を負担している場合、契約時から死亡時までに支払った保険料が相続税の対象(解約返戻金相当額)となります。
保険対象が家族のため、被相続人が亡くなった時点では死亡保険金の受け取りがなく、財産計上を失念しやすい項目です。