相続・事業承継あれこれ

2019.09.02

今年は自社株の株価が低くなりそう?

未上場会社の株式(以下「自社株」)の評価に影響を与える、令和元年分の類似業種比準価額の業種目株価等が国税庁より6月に公表されています。

今年は概ねどの業種目も株価が下落基調にあり、結果として、自社株の株価も低くなりそうです。
自社株の計算方法はやや複雑で、株価を算定すると下記のような不思議なこともあります。
利益は昨年並みだったが株価は下落
・利益は昨年より下がったのに株価が上昇

 (上記の理由)
自社株の評価は自社の利益等や純資産(内部留保)を組み合わせて計算しますが、その他、毎年国税庁から公表される「類似業種比準価額の業種目株価等」にも影響を受けます。

「類似業種比準価額の業種目株価等」とは、自社と類似する上場会社群(例えば自社が運輸業であれば、国が選定する複数の運輸会社)の(A)株価、(B)配当、(C)利益、(D)内部留保の各要素をいいます。それらの要素を、所定の方法により自社株の計算に反映させます。

この説明だけで、自社株の計算方法を理解するのは難しいと思いますが、例えば(A)の株価を取り上げると、“自社と類似する上場会社群の株価が下がると自社の株価も下がりやすい” 関係があります。

下記はその上場会社群の株価に関して、過去5年間の業種目別推移を整理したものです。
類似業種比準価額計算上の(上場会社群の)業種目別株価

情報通信業(図中①)を除き、昨年より株価が下がっている業種が多く、本年度は全体的に自社株の株価が下がりやすいと思われます(他の要素の影響もあり、全ての会社が下がるということではありませんが)。結果として、昨年に比べて贈与等できる株数を多く設定できる可能性があります。年末に向け、あらためて今年の株価を確認してみてください。