相続・事業承継あれこれ
2019.03.06
証券口座のマイナンバー管理が進む~平成31年度税制改正~
平成31年度の税制改正(執筆時点で国会で法律案を審議中)において、銀行や証券会社で開設する証券口座へのマイナンバー付番が進む内容が織り込まれています。
1.2015年(平成27年)12月末までの証券口座開設者の現状
2015年12月31日以前に開設された証券口座にはマイナンバーが付されていないため、金融機関が顧客に対して、マイナンバーの告知を依頼してきました。ただし、口座開設者が告知を拒否することも多く、対象となる個人顧客のうち約6割が告知していないというデータがあります。
財産を管理されることに心理的な抵抗がある方も多いようです。
なお、2016年1月1日以降はマイナンバーの提示がなければ、証券口座の開設はできません。
2.平成31年度の税制改正の内容
2020年4月1日以降は、口座開設者からのマイナンバーの告知有無にかかわらず、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)から、直接マイナンバーを取得することができるようになります。
やや荒っぽい印象ですが、これによりマイナンバー管理が進みます。
(実際には証券保管振替機構が取得し金融機関等に提供:下記イメージ図参照)
3.税制改正の影響
銀行や証券会社で開設している特定口座(及び一部の一般口座)に関しては、各顧客に年間取引報告書が送付されますが、現在でも同じ情報が税務署にも送られています。したがって、マイナンバー管理しなくても税務署は口座開設者の情報を収集することができるようになっています。ただし、口座にマイナンバーを付すことで、調査の効率化は大幅に進みます。その結果、全体の調査件数や納税者への簡易接触機会が増えると思われます。
4.税金対策の考え方
今年の改正に限らず、税務署における情報収集の仕組み化や効率化は年々進んでいます。財産を把握されるのは気持ちがいいものではありませんが、ガラス張りになっているという前提で、正攻法で税金対策に取り組む必要があります。
このところ増税の改正は多いですが、中には減税となる改正も織り込まれています。情報収集をしっかり行うことも大切です。
(参考)
今回の取り扱いは「税制法案」と「マイナンバー法及び住基法」の両法案の成立が必要です。前者は成立が確実です。一方、今年は統一地方選や参院選、天皇即位等の行事を多く控えており、後者は他の法案との優先順位の兼ね合いで、今国会中に成立しない可能性はあります。
今後の動向が注目されます。