相続・事業承継あれこれ

2019.02.04

岡山県の税務調査実績~相続税~

昨年末、国税庁から平成29事務年度(平成29年7月~平成30年6月)の相続税の税務調査実績が公表されました。通常の実地調査に加え、税務署からの簡易接触が増えています。

1.相続税の税務調査はいつ行われる?
相続税の税務調査は、相続税の申告手続きをした後5年以内(実務上は1年~2年以内が多い)に行われます。Information2018年3月号※もご参照ください。※弊社ホームページにも掲載

2.税務調査の状況~高い再申告率~
平成29事務年度において、税務調査で財産漏れ等を指摘された方の割合は80%(下記「相続税の調査実績」③参照)と、昨年対比でみるとやや減りましたが、それでも税務調査を受けた方の10人に8人が再申告する結果となっています。
【相続税の税務調査実績(岡山県)】         
      税務調査の再申告率

3.平成29事務年度の特徴~税務署からの簡易接触件数が増加~
平成29事務年度において特徴的なのは、税務署からの簡易接触件数の大幅な増加です。
簡易接触とは書面照会や電話、来署依頼による調査をいいます(通常は納税者自宅等の実地調査)。
増加の背景としては、税制改正により、平成27年から相続税の申告手続き対象者が増加している一方で、税務署職員は増えておらず、税務署が効率的な調査を推進していることがあげられます。
【税務署の簡易接触(岡山県)】
      相続税の税務署からの簡易接触件数の増加

簡易接触件数は増えていますが、そのうち申告漏れ等を指摘された方の件数(上記表②)を基にした非違割合については、通常の調査に比べるとかなり少なくなっています。それでも何らかの回答を要した方の件数(上記表③)は多く、納税者の心理的な負担は大きいと思われます。

4.税務調査等で何を指摘される?
指摘される財産の種類で多いのは、現預金や有価証券です。具体的には、生前贈与の加算漏れ(相続人に対する相続前3年以内の贈与は相続税の対象)、過去に家族名義の口座に移動した金銭等や死亡直前の預金口座からの出金額の未計上といった指摘がほとんどです。これらは意図的な財産隠しではなく、それらの取り扱いを知らなかったことに起因するものですが、指摘を受けると追加の納税に加えて罰金も課されます。いたずらに心配する必要はないですが、相続税申告にあたり、将来の税務調査で指摘される点がないか、あわせて検討することが大切です。