相続・事業承継あれこれ

2019.01.15

平成31年度税制改正方針公表~相続・事業承継に関する改正内容~

平成31年度の(与党)税制改正大綱が平成30年12月14日に公表されました。個人事業者(個人医院を含む)の事業承継に伴う優遇措置の導入、自宅の相続に伴う配偶者居住権の評価方法の決定、教育資金贈与特例の延長(一部制限あり)等が盛り込まれています。

1.個人事業者(個人医院を含む)の事業承継に伴う相続税・贈与税の納税猶予
【主なポイント】
・下記資産の相続又は贈与の納税負担を条件付で猶予(申告時点では納税負担無し)
   土地(400㎡まで)/建物(床面積800㎡まで)/事業用減価償却資産
・今後10年内の相続又は贈与を対象にした時限措置(2028年12月31日まで)
・事前に都道府県への事業承継計画の提出が必要

(主な留意点)
〇不動産貸付業者や青色申告をしていない事業者は制度適用なし
〇後継者が将来、事業を廃業等した場合には、その時点で猶予税額を支払う必要あり
  (ただし、経営環境の変化等一定の理由に該当する場合には、一部税額が免除される)
〇土地相続時の減額特例(小規模宅地特例)との併用はできない

2.自宅の相続に伴う配偶者居住権の評価方法(家屋・土地)が決定
【主なポイント】
・2020年4月施行予定の配偶者居住権の評価方法が決定(建築年数・配偶者年齢等により計算)
・2次相続税対策としても活用できる可能性があるが、今後の情報確認が必要

(将来の配偶者の死亡時には相続税がかからない!?)
配偶者居住権は将来の配偶者の死亡(2次相続)に伴い滅失します。
この場合、理論上は評価額が零となり、2次相続時の負担が発生しないことになります。
ただし、実際に零として評価できるか、今回の税制改正大綱では明記されていないことから、今後公表される情報(政省令通達等)を確認する必要があります。

なお、最初の相続時(1次相続)には配偶者特例があるため、居住権を相続した配偶者に相続税負担が発生することは稀だと思われます。

※参考~配偶者居住権の活用~
 法定相続分で相続する場合、配偶者は自宅を相続すると、金銭等の他財産の配分が減ります。これを居住する権利分だけを相続することにより、他の財産を相続し易くなります。
                                 (Information11月号図参照

3.その他(主なもの)
・教育資金贈与特例(最大1,500万円まで非課税)の延長→2021年3月31日まで
 一方、贈与を受ける方の所得制限(年間1,000万円)等、制限措置が設けられています
・事業用宅地特例(400㎡まで80%減額)は、原則として相続前3年間の事業実績が必要に