相続・事業承継あれこれ
2018.12.05
相続人でない方の貢献を考慮~長男の妻の介護が報われる可能性あり~
約40年ぶりとなる相続法改正案が7月に可決・成立しました。
今月はそのうち、新たに設けられた「相続人以外の貢献を考慮する方策」のポイントを整理します。
1.今までの相続法では報われない長男の妻の介護
下記のような家族において、長男の妻が義父の療養看護をしていても、現在の相続法では、長男の妻は義父からみて相続人ではないため、財産を相続することができません。
仮に財産を相続しようとすると、義父の生前に遺言をのこしてもらう、義父と養子縁組するといった手続きが必要です。
2.新しい相続法における取り扱い(「特別の寄与」)
新しい相続法では「被相続人に対して無償で療養看護等をしたことにより、被相続人の財産の維持又は増加に貢献した場合、相続人に対して、その療養看護等に応じた金銭(特別寄与料)の支払いを請求することができる」とされています。したがって、本事例においては、妻は介護の対価として、相続人(妻、長男、長女)に介護の状況に応じた金銭を請求することができます。
3.実務上の留意点
金銭の請求(特別の寄与料)をするためには、被相続人への支援の実情をまとめておくことが望ましいと考えられます。具体的には、療養看護の記録をつける、被相続人の代わりに負担した費用等の領収書を残すといった取り組みです。
なお、「特別の寄与料」の請求は無償支援が前提です。介護等する対価としてお金を受け取っている場合には認められません。また、被相続人を支えていても、被相続人が施設に入居しており、看護等は施設の職員が行っているような場合にも特別の寄与と認められない可能性が高いと思われます。
施行期日は2019年7月13日までに政府がした指定日(現時点では未定)となっています。