相続・事業承継あれこれ

2018.10.01

自筆証書遺言に関する改正

約40年ぶりとなる相続法改正案が7月に可決・成立しました。先月は概要をお伝えしましたが、今月はそのうち、自筆証書遺言(自筆で作成する遺言書)に関する改正のポイントを整理します。

1.遺言書の種類 
実務上利用されることが多い遺言書は自筆証書遺言や公正証書遺言です。
信頼性の高い公正証書遺言が望ましいですが、資産の種類が多くなく遺言内容もごく簡単、家族仲も悪くなく費用も抑えたいといった場合には自筆証書遺言を選択される方もいます。

2.自筆証書遺言に関する主な改正内容(改正時期は9月号参照) 

 

(1)自筆する箇所が限定される
  改正前は全ての内容を自筆する必要があり、遺言書作成に時間がかかりました。改正後は所有財産を
     まとめた財産目録について、パソコン等による作成や不動産登記事項証明書・通帳の写し等の各種証
     明書の添付による代替が認められるため、手間をかけずに遺言書を作成することができます。なお、
     財産分けの内容については自筆する必要があり、この点は従来と同じです(その他、自筆しない財産目
     録等については、一枚ごとに署名押印することが求められます)。
 
(2)法務局で自筆証書遺言の保管ができ、作成者の相続後には遺言書の保管有無を検索できる
  自筆証書遺言書の課題であった、紛失や偽造を防ぐことができます。

(3)検認手続き(相続後の家庭裁判所での確認手続き)が省略できる
  相続後の相続人の手続き負担がなくなります。

3.注意点
財産目録を自筆する必要がないため、時間をかけずに遺言書を作成することができます。
ただし、例えば下記事例のような問題等がないかは、これまで同様に注意する必要があります。
 (事例)
   ・認知した子供が死亡しており、相続権がその子供(孫)となっていたことに気が付かなかった
 ・預金口座の番号に記載誤りがあり、金融機関での名義変更手続きができなかった
 ・未登記不動産や非課税(固定資産税)不動産の把握が漏れ、遺言書に記載がなかった

不十分な遺言があるとかえって相続手続きが難しくなったり、遺産分割で揉める原因になることもあります。遺言手続きが簡単にできるようになりますが、複雑な家庭事情がある、資産の内容が多い等の場合には、公正証書遺言による手続きを検討することが必要です。
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