相続・事業承継あれこれ

2018.09.01

相続の法律が変わります

約40年ぶりとなる相続法改正案が7月に可決・成立しました。相続時の財産の分け方、相続人の権利、遺言の取り扱い等が変わります(税金の改正はありません)。施行時期は少し先となり、現時点ではいくつか不明点もありますが、制度活用に備え、今回はそのポイントを整理します。

1.主な改正内容 
【遺言制度の見直し】
〇自筆証書遺言の方式が緩和されます
 ⇒全文を自筆する必要がなく、パソコン等による作成が認められます

〇法務局で自筆証書遺言を保管してもらえるようになります
 ⇒遺言書の偽造や紛失を防ぐことができます【夫【婦間の自宅贈与等を保護する制度】
〇婚姻期間が20年以上の夫婦間での自宅贈与は相続財産に加算されないことになります
   ⇒配偶者は自宅分だけ、他の相続人より多く財産を相続できます【配【偶者の居住権を保護する制度】
〇他の者が自宅を相続しても、配偶者の居住権が認められます【相【続人以外の者の貢献を考慮する制度】
〇相続人でない者(例:長男の妻)が行った療養看護等に一定の金銭請求権が認められます
【相続された預貯金債権の仮払制度】
〇遺産分割前でも生活費等を引き出せるようになります【遺【留分制度の見直し】
〇遺言等で財産を取得した他の相続人に、最低限の財産権を「金銭で」請求できます

2.施行時期(予定) 
(2019年1月13日施行)
◇自筆証書遺言の方式緩和
(2019年7月12日までに施行)
◇夫婦間の自宅の贈与等を保護する制度
◇相続人以外の者の貢献を考慮する制度
◇相続された預貯金債権の仮払制度
◇遺留分制度の見直し
(2020年7月12日までに施行)
◇配偶者の居住権を保護する制度
◇法務局における自筆証書遺言の保管制度