相続・事業承継あれこれ

2018.03.01

相続税の税務調査

昨年末、国税庁から平成28事務年度(平成28年7月~平成29年6月)の相続税の税務調査の実績が公表されました。例年同様、調査で財産漏れを指摘される方が多くなっています。

1.統計(岡山県)
平成28事務年度において、税務調査で財産漏れを指摘された方の割合は83.1%と前年対比で微増となっています(下記「相続税の調査実績」③非違割合の行参照)。

  相続税の税務調査(岡山)

2.税務調査はいつ行われる?
相続税の申告手続きの期限は相続があった日から10か月ですが、その申告期限のさらに5年後が税務調査の期限です(下記スケジュール参照)。10か月以内に申告書を提出し、納税を済ませても、その後行われる税務調査で財産の漏れ等を指摘されると、追加の納税負担が発生します。なお、税務調査の対象となる方の割合は相続税の申告をされた方の約20%程度です。
   相続に関する一般的なスケジュール
3.税務調査で何を指摘される?
指摘される財産の種類で多いのは、現預金や有価証券です。具体的には、生前贈与の加算漏れ(相続人に対する相続前3年以内の贈与は相続税の対象)、過去に家族名義の口座に移動した金銭等や死亡直前の預金口座からの出金額の未計上といった指摘がほとんどです。これらは意図的な財産隠しではなく、それらの取り扱いを知らなかったことに起因するものですが、指摘を受けると追加の納税に加えて罰金も課されます。いたずらに心配する必要はないですが、相続税申告にあたり、将来の税務調査で指摘される点がないか、あわせて検討しておくことが大切です。