税務情報等

2017.10.01

相続時点で賃貸アパートに空室がある場合の取り扱い~最近の裁判事例から~

 賃貸アパート(土地・建物)については、相続時の賃貸状況に応じて評価額が変わります。
 具体的には、賃貸割合が大きいほど評価減額されるため、空室がある場合には不利になります。
 ただし、空室があっても「一時的な空室」と認められる場合には、例外的に賃貸しているものと取り扱われますが、最近の裁判事例※において、5か月の空室期間が一時的な空室ではない(つまり、減額の対象とならない)との判断が示されています。※大阪高裁(平成29511日)

相続時点の賃貸状況に基づく取り扱い(イメージ)

 悩ましいのは「一時的な空室と認められるかどうか」の判断です。
 「一時的な空室」であるかどうかの基準は、法律では規定されていないため、実務上、国税庁から公表されている質疑応答事例(下記)を基に総合的に判断しています。

「一時的な空室」~評価減額の対象となる判断要素~
  ・各部屋が相続前から継続的に賃貸されていること
  ・前の借り手の退去後、速やかに賃貸募集が行われていること

  ・空室の期間中、他の用途に供していないこと
  ・空室の期間が、相続前後の例えば1か月程度であるなど、一時的な期間であること
  ・相続後の賃貸が一時的なものではないこと
                        【出典:国税庁ホームページ/質疑応答事例(一部表現修正)】

 この中で、空室の期間が1か月程度とありますが、あくまで目安であり、空室期間が1か月以上であっても、総合的な判断の上「一時的な空室」として評価を減額することもあります。
 実際に、半年程度の空室でも「一時的な空室である」と認められたようなケースもありますが、今回の裁判において「空室期間が5か月の部屋については一時的な空室ではない」という判断が示されています。
 個別の事例ごとに(期間だけでなく)総合判断する方針は変わりませんが、今後、税務署が指摘する際の根拠として用いることも考えられる、実務における参考になりそうな裁判事例です。

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参考]
 アパートと違い、戸建物件については「一時的な空室」の取り扱いがないため、相続時点で空室があった場合には、その空室が一時的かどうかにかかわらず、減額対象となりません。

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