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「あやまち」 前田洋一

「ウォーター!ウォーター!」
少年が叫びながら、私が持っていたペットボトルに手を伸ばしてきた。「うるさい。向こうに行け!」思わず大きな声をあげて少年の手を振り払った。少年と言ってもまだ幼児。おびえたような悲しい顔をしながらよろよろと近づいてくる。そして元気のない声で叫ぶ。
「ウォーター!」

暑すぎる。しかも渇いていて埃っぽい。糞尿とスパイスの入り混じった匂いが鼻腔を刺激する。鳴り止まないクラクションの音。狂犬病かもしれない無数の犬たちが歩道を占拠する。そしてその数をはるかに上回るおおぜいの人・人・人。
ムンバイの夜の街を歩く。かつて、ボンベイと呼ばれ東インド会社の大拠点であったインド最大のこの都市には、どこからともなく人が集まる。道端には多くの物乞いを生業とする人たちがいる。赤ん坊を抱いた女性が「ミルク、ミルク」と手を差し出す。どうやってここまで移動してきたのか、四肢のない青年が憐れむ顔でこちらを見ている。
マズローの欲求段階説でいうところの、ピラミッドの最底辺、生存の欲求が満たされていない人たちがこの大都会にはあふれている。

手を振り払った夜は、何度も少年の悲しそうな顔を思い浮かべて眠れなかった。私にとって水はそんなに大切なものではない。しかし、少年にとっては生きるためにもっとも必要なモノであったに違いない。彼はいつまで生きることができるのだろうか。一杯の水で彼の命が救えるわけではないだろうが、私のしたことはあやまちであったと反省する。一年近くたった今でも少年の顔を思い出しては、罪悪感でいっぱいになる。

東日本大震災がきっかけなのか、昭和と平成を四半世紀づつ生きてきた齢によるものか、ある時から、死というものを真剣に考えるようになった。
お正月に母が言った。「私は100まで生きるからな。」「その時には僕が死んどるわ。」母の期待する答えとは真反対な言葉が口をついて出てしまった。母の顔が、ムンバイで見た少年の悲しそうな顔とダブった。また、あやまちを繰り返してしまった。

死を考えるという事は、生きる意味も考えさせてくれる。生きるということはあやまちを繰り返し、人を傷つけ続けることなのだろうか。
幸いなことにムンバイの少年と違い、私たち日本人のほとんどは生存の欲求は満たされている。たとえ、あやまちを犯しても後悔することができる。そして二度と繰り返さぬように反省し、行動に移すことができる。それが生きるという事かも知れない。良い一生だったと誇りを持って言えるために、反省と感謝の気持ちを忘れずに生きていきたい。

 


平成25年3月 前田洋一

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