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ホーム > コラム >ハゼ釣り』 前田洋一

ハゼ釣り

 久しぶりに何の予定もない休日だった。そういえば、何年か前までは休日に予定が入っていないととても不安に感じていたが、今は予定のないことがとても喜ばしい。こんな日は朝一番に映画を観に行く。この季節は金木犀の香りを心地よく感じながら自転車をこぐ。映画館は人影もまばらで、自分と同じ「ひとり」が多い。コーヒーとドーナツを買い込み映画を観る。映画の後は、近所のお好み焼き屋に行き、夜までまてずフライングでビールを注文する。少し気持ちよくなったら本屋に行って午後から読む本を探す。

 この日はとても天気が良かったので、自然の中で読書をする事にした。途中、缶チューハイとチーズをコンビニで調達して海にむかった。波止の上に寝転がって本を読む。さほど面白い本ではなかったが、夢中で読んだ。気がつくと一冊読み終わっていた。同時に影がとても長くなっている事に気づいた。太陽が大きくなっていた。ふと、昔の情景が思い出された。

 35年前の秋の夕方。その年の春、街中の深抵小学校から、まだ葦原が残る福島小学校に転校した。遊び場は、商店街やデパートのエレベーターから自然の中へと変わった。この秋は初めてのハゼ釣りに夢中になった。学校が終わると着替えもそこそこに竿を持ち波止まで自転車をこいだ。波止は毎日、毎日クラスメイトが集まった。えさとなるゴカイの探し方・針の結び方など、釣りが初めての自分に皆が先生となり教えてくれた。当時の岡山港は工業排水でとても汚れていた。ハゼは今より沢山生息していたが、食用に出来る物ではなかった。背骨が曲がっているのは良くある事で中には双頭という不気味な奴もいた。奇形のハゼを釣るたびに仲間達から賞賛の声があがった。転校生の自分にとって仲間から認められるチャンスだと感じたのだろう。排水溝の真下で奇形のハゼを狙い続けた。西の空が赤くなってくるとハゼ釣りの時間も終了だ。陽が沈んでしまわないうちに家に帰らなければいけない。臨港鉄道の線路に沿って、太陽に向かい必死で自転車をこいだ。

 波止の上で沈んでいく夕陽をじっと見つめ考えた。35年前に他人から認められようと奇形のハゼを狙い続けた自分は、少しは成長したのだろうか。他人の評価を恐れるあまり、自分らしさを殺している事は無いだろうか。人と接する事が大好きで、ひとりぼっちが大嫌いなはずの自分は、今日はなぜ「ひとり」でいることを選んだのだろうか。答えの出ない疑問が次々にわいてくる。どちらにしても明日からは「ひとり」でいるわけにはいかない。いつもどおり、自分らしく元気を出してがんばろうと思う。そろそろ太陽が沈んでしまう。少し寒くなってきたし暗くならないうちに家に帰ろう。臨港鉄道の線路に沿って、ゆっくりとゆっくりと自転車をこいだ。

平成20年11月 前田洋一

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