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『書くこと』

 そろそろ、旧暦の七夕だ。夏のこの時期は毎年決まって県展作品(書道部門)の締め切りに追われている。書きながら、試行錯誤しながら、いろいろな夏に思いをはせる。

 一番古い夏の思い出は、私が幼稚園の頃、夏休みを母の実家で過ごしていた時のこと。 当時90歳くらいだった曾祖母に「明日は七夕だから早起きをして朝露を取ってきなさい」と言われた。七夕の朝、里芋の葉や稲の先にたまった朝露をお椀ですくい、その朝露で墨をすって願い事を書くらしい。

 翌朝、従姉と二人、朝露をすくい取るためのお椀を持たされて勢い込んで出かけた。しかし、いくら探してみても朝露に出会わない。探せばすぐにあるものと思っていたのに見当違いだ。それでも、やっと見つけた朝露を、お椀を使って上手にすくい取れるような芸当はなく、従姉と二人で途方に暮れた。朝露を持って帰らないと願い事も書けないし、お腹も空いてきた。窮した私たちは、仕方なくその辺の川の水をお椀にすくって帰った。朝ご飯を食べずに私たちを待っていた曾祖母は、なみなみと入ったお椀の水を見て、「そんなに朝露が取れる訳がない」と大笑いした。願い事を書くのも大変だ。気を取り直し、曾祖母の言うとおりにきちんと正座し、私は生まれて初めて墨をすった。墨をする時間は祈りに似ている。幼いながらも、このときの何か特別ないい時間を持ったという感覚がなぜか忘れられない。これが私の書道との出会いである。墨の匂いとか書くこととか、今も書道が好きでずっと続けているのは、この夏の七夕の引き合わせによるものかも知れない。

 平成3年の夏はバブルが崩壊して弊社も筆舌に尽くしがたいほどの痛手を負ったことがある。その頃の私の精神的な支えとして、書道の存在が大きかった。ざわつく気持ちを書くことでずいぶんと浄化できた。一瞬でも清々しさを取り戻せた。書く愉しみを知っていて幸せだったと心の底から思えた時期だ。
 昨年の夏は、病気と闘っていた所長にリクエストされた「歓」の一字を書いて誕生日祝いに贈った。生きる歓びを少しでも感じてもらえただろうか。

 普段は書く愉しさを堪能しているほうだと思うが、この県展の時期だけはそうはいかない。自分の努力不足と技術の未熟さ、そしてどんな道にも言えることだが、一つの道を極めていくことの難しさと奥深さを思い知らされる。いつかおばあさんになった時に心を書で表現した作品展を開くのが夢だが、こんな調子ではいつのことになるのかわからない。

 曾祖母と過ごした七夕の短冊にどんな願いを書いたのかは思い出せない。ただ硯の置かれた文机と、疲れて畳に寝転がって見た青空と、座敷を吹き抜ける風の心地良さが今も不思議と心に残る。その風景に私の書くことの初心がある。

平成20年8月 今田泉美

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